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災害時、目の前にけが人が…。あなたが取るべき行動は? -防災行動ガイド

 

ある日突然、大災害が発生。避難をしている途中で、道端に意識を失い倒れている人を発見しました…。もしあなたが同じような状況に置かれたら、一体どうすればいいのでしょうか?

正しい知識とすぐにできる小さな行動が防災意識を高め、あなたとあなたの大切な人を救います。

今回は、災害時の正しい応急手当や搬送方法などをご紹介。

 

 

 

POINT!

① 災害時は医療機関がオーバーフロー、救急も不足
② 人が倒れていたら、まず安全を確保
③ 物資が不足している場合は身の回りのものを活用

目次

  • リスク:災害時は傷病者が同時に多数発生。医療機関はオーバーフロー、救急救命道具も不足
  • 対処法①:倒れている人を発見したら、まずは周りの安全を確保。大声で助けを呼び、周りと協力して救助を
  • 対処法②:身の回りの物をうまく代用して処置を行う。傷病者の姿勢は横向きが基本
  • 災害時の応急手当に役立つサービス・ウェブサイト

リスク:災害時は傷病者が同時に多数発生。医療機関はオーバーフロー、救急救命道具も不足

災害時に想定されるけが・病気の例

地震 窓(まど)ガラスや食器がゆかに散らばっている可能性もあるので、ケガをしないようにスリッパやくつをはいて足を守ろう。
台風 強風によって飛散する可能性のある飛散物によるケガ。強風での転倒によるけが・骨折・捻挫
火災 避難時の転倒による骨折・捻挫、炎によるやけど等

 

また、災害時は次のようなリスクが想定されます。

  • 情報通信手段が途絶えてしまい、救急隊をすぐに呼ぶことができない
  • 同時に多くの傷病者が発生したり、倒れた建物で道路が遮断されたりすることで、救急隊の到着が通常よりも遅くなる
  • 医療機関がオーバーフローし、すべての傷病者への処置が困難に

防災機関そのものが被害を受けることで、救護活動能力が著しく低下してしまう恐れも。また、阪神・淡路大震災の際、救援活動を行った多くの人たちは、「普段は病院に常備されている薬や包帯、三角巾、担架などがほとんど手に入らなかった」と証言。災害時は、人手はもちろん、応急手当や救急救命に必要な資機材も一斉に必要となるため、不足する可能性があります。

対処法①:倒れている人を発見したら、まずは周りの安全を確保。大声で助けを呼び、周りと協力して救助を

目の前にけが人が…。災害時の正しい応急手当や搬送方法 -防災行動ガイド

応急手当の目的

  • 救命:応急手当の一番の目的は、生命を救うこと。「救命処置」を目的とした手当を最優先しましょう。
  • 悪化防止:応急手当は、けがや病気を「治す」ためではなく、「今以上に悪化させないこと」が目的。傷病者の症状、訴えを十分に把握し、必要な手当を迅速に行いましょう。
  • 苦痛の軽減:傷病者は心身ともにダメージを受けているため、できる限り苦痛を与えない手当を心がけましょう。励ましの言葉をかけて、心のケアに気を配ることも大切です。

心臓と呼吸が止まってしまうと、時間の経過とともに救命の可能性は急激に低下します。しかし、もしその場に居合わせた人が心肺蘇生やAEDなどの応急手当を行った場合、手当をしなかった場合に比べて、救命の可能性はおよそ2倍になります。救命のチャンスを高めるため、勇気を出して、応急手当を積極的に行いましょう。

目の前に倒れた人がいたら

もし、あなたの目の前に倒れた人がいた場合の対処ステップは、次の通り。

  1. 倒れている人の近くを、車・自転車などが通過する可能性のある場合は、周囲の安全確保を行う
  2. 軽く肩をたたきながら「大丈夫ですか?」と声をかけ、倒れている人の意識を確認
  3. 反応がない場合、「人が倒れました! 誰か来てください!」など大声を出して、周囲に協力を求める。心肺蘇生法の知識がある場合は速やかに実施する

また、もし「AED」が近くにある場合は、恐れずに使用してください。AEDは、電源を入れると音声ガイドが使い方を順次指示してくれたり、自動的に心臓の状態を診断し、電気ショックの必要の有無を判断してくれたりするため、知識のない人でも救命活動を行うことができます。

対処法②:身の回りの物をうまく代用して処置を行う。傷病者の姿勢は横向きが基本

目の前にけが人が…。災害時の正しい応急手当や搬送方法 -防災行動ガイド

災害時は応急手当に必要な資機材が不足します。身の回りの物でうまく代用して処置を行いましょう。

  • 止血
    人の体は体重のおよそ8%が血液といわれており、体内の3分の1以上の血液が失われると生命に危険が及びます。噴き出すような出血の場合は、すぐに止血を行いましょう。また、止血の際には感染症を考慮し、血液に直接触れないようにしてください。

    直接圧迫止血法:出血部位を直接圧迫する方法。出血箇所にガーゼや清潔な布を直接当て、手で強く圧迫します。感染予防のため、血液に直接触れないよう、ゴム手袋などを着用して行いましょう。ゴム手袋の代わりに「ビニール袋」、ガーゼの代わりに「清潔なハンカチやタオル」を使用して行うことも可能です。

    間接圧迫止血法:手や足などの動脈性の激しい出血で、直接圧迫止血法では止血が困難な場合は、心臓に近い動脈を親指などで骨に向かって押さえ付け、血の流れを一時的に止めます。

  • やけど
    面積が身体の10%未満の軽いやけどなら、迅速にきれいな水で15分以上冷やします。断水時はペットボトルの水などを使って処置しましょう。衣類を着用しているときは、衣類の上から冷やしてください。広範囲のやけどの場合は、体が冷え過ぎたり、水ぶくれが破れたりしないよう注意しながら水で冷やし、患部に刺激を与えないよう、十分な厚さのある衣服やバスタオルで包みます。医薬品などは塗らないでください。重症の場合はその後、できるだけ早く医療機関で処置を受けましょう。
  • 骨折・捻挫
    折れた骨の両側の関節とそえ木を布などで結び、固定します。そえ木の代わりに「折り畳み傘」「雑誌」「朝刊1日分程度の新聞紙」、三角巾の代わりに「大判ハンカチ」「ネクタイ」「大きめのレジ袋」などで代用することも可能です。

  • 傷病者の姿勢
    重いけが・病気の場合は、速やかに医療機関へ搬送する必要があります。搬送するまでの傷病者の姿勢は、喉の奥の空気の通り道が狭まったり、吐しゃ物で詰まったりすることを防ぐため、横向きが基本。衣服のベルトは緩め、上側の膝を90度に曲げてください。傷病者を搬送する際は、自家用車、荷車、防災倉庫にあるリヤカー、担架などを使い、振動を与えないように運びます。このときも前述の横向きの体位を基本とし、足先が進行方向になるようにします。

災害時の応急手当に役立つサービス・ウェブサイト

① 消防庁「一般市民向け 応急手当WEB講習」

消防庁が一般市民向けにWEBで提供している救命講習。パソコンやタブレット、スマートフォンで、だれでも好きな時間に、心肺蘇生・AEDの活用などの応急手当の基礎知識を学ぶことができます。

② 政府広報オンライン「いざというときのために 応急手当の知識と技術を身につけておきましょう」

目の前で人が倒れたときに、身につけておくべき応急手当を解説しているページ。「心肺蘇生」の流れと「AED」の使い方に関する説明も。

③ 知っておきたい! 防災情報

災害や防災に関する知識の啓発のため、実用的な防災コラムや防災グッズなどの情報を提供。地域ごとの緊急時の医療機関の情報も。